小杉春流の抱え込んでいた事があまりにも大き過ぎるモノで、あたしは言葉を失ってしまった。




「俺の両親は、ちょっとした会社の経営者で、そこそこの業績だったらしい」




今まで何も語ろうとしなかった小杉春流が、あたしに全てを打ち明けようとしてくれている。




「去年の春、両親の会社が社員旅行で北海道に行った。そこから、俺の人生が狂った」



「………」



「その時に乗ってたバスが、玉突き事故に巻き込まれた。全員即死だったらしい。で、その向かっていた場所っていうのが―――」




…言わなくても良いよ。あたし、全て分かっちゃったから。


小杉春流の両親が向かっていた場所って言うのが“時計台”だったんだね…。




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