「だから、俺に構うなって言った―――」
「だったら、何でみんなの前でそんな表情するの!?」
構って欲しく無いのだったら、必至に溢れる感情を抑えればいいじゃない。周りと完全に壁を作ればいいじゃない。
だけど、小杉春流にそれが出来ないのは、きっと―――
「本当は、誰かに悩みを聞いて欲しかったんじゃないの?」
この言葉を最後に、あたし達の間には会話が無くなった。沈黙の世界が、あたし達を取り囲む。
…やっぱり、話したくない事だったのかな。
自然と俯き加減だった顔を上げて、口を開こうとした時だった。
「俺の両親はな、北海道で…
―――死んだんだよ」
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