突如、あたしの耳に聞き慣れた声が流れ込んできた。 この声って、もしかすると… ―――瑞兄じゃない…? 息が止まりそうになる。 ゆっくりと振り返ったその先には、あたしに視線をぶつけている瑞兄の姿があった。 …なんで、瑞兄が此処に居るの? 小杉春流の前で思いきり泣いたばかりなのに、また涙腺が緩くなっていく。 「瑞兄、何で―――」 「未愛、ゴメンな」 あたしの疑問は、瑞兄の謝罪の言葉によって掻き消された。 .