「な…何で紅羽先輩がそんな顔してるんですかぁ!」
「未愛ちゃん…」
「あたしと瑞兄は幼なじみで、ずっと小さい頃から一緒に居る仲なんです。多少の事は気にしませんから!」
本当は、泣きそう。
何で瑞兄があんなに怒っていたのかが、分からない。
だけど、大好きな先輩を悲しませてしまうのは、もっとイヤだから。
「瑞兄、きっと長旅で疲れてるだけです!今はそっとしておいてあげましょう?」
「…そうだね。分かったよ、未愛ちゃん」
ニコッと軽く笑って見せた紅羽先輩は、あたしの身体を抱きしめていた腕を解き、由羽先輩の元へと向かった。
紅羽先輩を安心させても、瑞兄の冷たい瞳は、心の奥底に残ったまま。
―――ねぇ、瑞兄。
あたし、何かした?
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