「瑞兄…?」 「…今の俺に、話し掛けるな」 「へ…?」 「悪い未愛。…俺、先に次の場所、行っとくから」 頭をクシャクシャと掻き上げた瑞兄は、あたしと目を合わせる事も無く、スタスタと先を歩いて行ってしまった。 「大丈夫?未愛ちゃん」 「あ…紅羽先輩…」 あたしは我に返り、ハッとする。 誰かの体温で包まれたと思ったら、それは紅羽先輩があたしを抱きしめてくれていたから。 あたしの視界に映る紅羽先輩は、とても悲しそうで、辛そうな表情をしていた。 .