次の瞬間、何処からか聞き覚えのある声が聞こえてきて、筆談ナンパ男からあたしを遠ざけてくれた。
その人はハアハア…と息を切らせて、眉を下げる。
「未愛ちゃんゴメンね!あたしの兄がこんなにもバカで…」
「紅羽先輩…!」
スーパーマンならぬ、スーパーウーマンのような紅羽先輩に、あたしの瞳はキラキラと輝き始める。
瑞兄もカッコイイけど、紅羽先輩もカッコイイ!
というか、紅羽先輩は「あたしの兄が―――」って言ってたけど。さっきの筆談ナンパ男って、もしや―――
「さぁバカ兄!とっととその怪しげなサングラスとマスク取って、未愛ちゃんに謝って!」
「って、痛いよ紅羽!マスク取る時の力強すぎだって!」
「そんな事知らないから!」
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