漆黒のサングラスに、顔をすっぽり覆っている純白のマスクを身に付けている、不審過ぎる人。
あたしの肩を叩いてきた男の第一印象が、この言葉だった。
極め付けに、「そこのお嬢さん、俺と遊ばないか?」と書かれている画用紙を、あたしにしつこい程に見せ付けてくる。
「あのー、あたし用事あるんで」
―――「待って」
「イヤです。だってアナタ不審過ぎるじゃないですか」
―――「俺は不審者じゃないよ!ただ普通の通行人だよ」
いやいやいや。充分不審者ですって。
何処に、筆談でナンパする通行人が居るんだって話になるから。
その画用紙、勿体無いよ。
「あのですね…」
「バカ兄!未愛ちゃんにちょっかい出さないの…!」
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