小杉春流は何も無かったかのように、教室に入ってくる。もちろん、クラス中の視線を集めたまま。
そして、有り得ない事が起こった。
「小杉は、一番後ろの列の窓側から二番目の席だ」
「ありがとうございます、先生」
教卓に置いてある座席表を見ながら、先生は小杉春流に席を伝える。
だけどそこは、さっきまで疑問に思っていた、ずっと空席だったあたしの隣の席の事で。
何で、小杉春流が此処にいるの?
何で、あたしの隣に座ってるの?
意味が分からない…!!
一人で慌てていると、カバンを掛けて教科書を出し終わった小杉春流の声が、あたしの耳に突き刺さった。
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