「何やってんだ?」
動かないあたしに対してどんどん不審がっていく瑞兄を見て、あたしは少しずつ焦りだしていく。
…死んでも「見とれていました」なんて言えない。
「な………」
「な…?」
「…なんでもないれすーっ!」
パニックに陥ったあたしは口が開いたと思えば、咄嗟にそんな事を言っていた。しかも、噛んでしまったという失態付きで。
…穴があったら入りたい。
「そこで噛むなよなー」
瑞兄はそう言いながら笑っている。
あたしは瑞兄の笑顔を必死に耐えながら、初めての高校までの道を進もうとした時だった。
.
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…