「未愛…別に俺達は怒ってないぞ?」
突如、目の前に現われた瑞兄が、優しい口調で話し掛けながら、あたしの頭を撫でてくる。
背中を擦っていた紅羽先輩も、瑞兄の少し後ろで見守っていた由羽先輩も、うんうんと頷く。
「学園長はきっと分かってた。春流が未愛の事を庇っている事くらい」
「だったら、なん…で…」
「春流の男気を勝ったんだよ。未愛を守るという決心が表われている、春流の行動をな」
小杉春流という人間は、口数が少なくて、見た目バリバリヤンキーで、黙っていたら怖くて。
だけど内面は、人の気持ちに敏感な、優しい人。自分を犠牲にしてまで他人を助ける、本当にバカな人。
「未愛は春流に助けられたんだ。その事を忘れないで、俺達は春流を助ける手立てを考えればいい」
「うん…」
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