「彼女に、一切の非はありません」
「え…?」
身体中の血液が止まりそうになったのは、この小杉春流の言葉が原因だった。
抑揚の無い声に、あたしの心臓は悲鳴を上げ始める。
「今回の騒動は、全て俺が彼女を巻き込みました。写真の事だって、今日の事だって」
「何言ってる、の…?」
「何でこんな事をしたのか教えてあげましょうか?…国友未愛を好きになってしまったからですよ」
嘘、だ。
小杉春流は自分を犠牲にして、学園長にあたしの無罪を訴えている。
「俺は生徒会役員でありながら、校則を破ってしまった。どうぞ、俺だけを学園長室へ連れて行って下さい」
さりげなくあたしの前に割り込む小杉春流の姿を目に焼き付けながら、あの言葉の真実を見付けてしまった事に、後悔した。
小杉春流の言葉が、頭の中に何度もリフレインする。
―――「大丈夫だ。俺が守ってやる。瑞希も、国友未愛も」―――
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