ピリピリとしたムードが、生徒会室全体を包んでいく。


それもこれも、全部の原因を作り出してしまったのは、あたしと小杉春流だけなのに。


あたし達が、瑞兄を巻き込んでしまっているだけなのに―――




「高橋君。我々はPTAから抗議の声を頂いているんだ。大人しくその二人をこちらに渡して貰おうか」



「絶対に嫌です」



「君が“学園内での恋愛禁止”という校則を制定した、張本人なのに?」



「そ、それは…」




珍しく、瑞兄が口ごもる。


勝ち誇ったように冷たい笑みを浮かべた学園長が、スーツの内ポケットから何かを取り出す仕草を見せた。




「高橋君の強気な姿勢が、いつまで続くのかな?」




その言葉を同時に、学園長は近くに設置されてあるテーブルに向かって、取り出したモノを勢いよく投げた。




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