その間にも、小杉春流は瑞兄に近付き、雑談を交わしている。
「迷惑掛けたな、瑞希」
「まったくだよ。けど、何で春流が俺を庇うマネなんかしたんだ?言っとくけど、お前達は今、危機的状況なんだぞ?」
瑞兄は廊下に声が漏れないように、細心の注意を払いながら告げた。
「どうやらPTAが学園長に抗議したらしく、上のお偉いさんが必死になって、未愛と春流を探してる」
「やっぱり。そんな事予想はついてる」
「…ってなぁ、春流。お前はもう少し危機感を持てって。アイツらは俺達生徒会と違って、何を考えてるのか分かんねぇんだぞ?」
瑞兄の核心を突いた言葉に、小杉春流は声が止まる―――が、何かを懐かしむような目をして、窓の方を向いた。
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