あれだけ瑞兄の視線を感じて、小杉春流と一緒に居る所を見られたくないと願っていたのに。


ハジメテは全部瑞兄にあげるんだ、そう信じてやまなかったのに。


今日、その“ハジメテ”のひとつを、小杉春流に取られてしまった。しかも、無理矢理。



だけどね?全然怒る気が起きない。寧ろ胸がドキドキと煩いんだ。


きっとあたしは、さっきのキスで小杉春流を意識してる。あたしだって人間だから、そのくらい分かる。



一体、どうしちゃったの―――?




「もう午後の競技に入ったみたいだな。大丈夫か、未愛?」



「うん…」




生徒会室の窓に身体を傾けている状態で、小杉春流はチラチラと外の様子を伺っている。


あたしもボーッと突っ立っている状態を止めて、窓へと歩み寄ってみた。




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