それからの出来事は、よく覚えていない。


気が付けば、小杉春流に連れられ、生徒会室に居た。


ただハッキリと分かってしまった事は、小杉春流に、キスされたという事だけ。


ゴールに向かう前にポツリと吐かれた言葉の意図が、徐々に明かされていく気がした。




―――「今から俺は、お前が嫌がる事をする」―――




あたしが嫌がる事―――それは、瑞兄が好きと理解しているあたしの唇を、無理矢理奪う事。


きっと小杉春流は、生徒会長という立場にある瑞兄を守ったんだ。汚れてはいけない、不動の存在を。



だけど、あたし思うんだ。

こんな時に不謹慎だと自覚しているけど…



小杉春流とのキス、そこまで嫌だと思わなかったんだよ。




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