気が付けば、身体は本部に向かって走り出していた。…小杉春流に、文句を言う為に。
まず恋愛禁止だっていう学校の障害物競走に、こんなくじを紛れさせる事がおかしい!
そして、キスをした後のあたしのあからさまな反応によって、瑞兄に気持ちがバレてしまうのが怖い!
―――「バレたら、退学」という言葉が、あたしの頭の中をグルグルと回り続ける。
「何が当たったんだ?未愛ちゃん」
「小杉春流ー!アンタからかうのもいい加減にして!!」
由羽先輩の言葉を押し退け、あたしは余裕そうに本部席に座る小杉春流に近付く。それこそ、凄い剣幕で。
「何だよ、うるせー」
「コレどういう事よ!こんな事して何が目的!?」
あたしがさっきまで握り締めていたくじを小杉春流に見せると、一瞬にして表情が無くなっている事に気が付いた。
そして、小杉春流は咄嗟にあたしの持つくじを奪い去る。
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