「只今から借り物競争を始めます。まず最初の組は、一コース・丸井君―――」




一年生から各コースごとに名前が呼ばれ、弾けるように響くピストル音と共に、競技が動き出す。


グラウンドに作られたトラックを半周程走った所で、いよいよ借り物競争らしく、くじの出番だ。


各コースごとに設置されてあるくじ箱の中から、緊張した面持ちでくじを引いていく生徒達を、あたしと友良は浮ついた気持ちで観察する。


…が。




「未愛。何かみんなおかしくない?」



「た…確かに」




くじを引いた途端に、みんなの表情が固まっていく。そんなに変な借り物指令でも出されているのだろうか。


そんな考えが頭に浮かんで来た瞬間、あたしはふと思い出してしまう。



確か、借り物競争の企画を担当したのは―――小杉春流だ。という事は、当然くじの作成をしたもの、アイツという事になってしまう。


一体、何を企んでるのよ…!!




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