「未愛ちゃん、もう人がボチボチ並んでるね」



「そうですね。じゃ、行ってきます!」




紅羽先輩に挨拶して、他の生徒会メンバーに手を振ったあたしは、軽快な足取りで入場門に近付いて行く。


入場門には、次の借り物競争に出場する全学年の生徒が、徐々に集まり始めていた。




「未愛ー!こっちこっち!」




ハチマキを付けながら知り合いが居ないか探していると、聞き覚えのある声が、あたしの耳に入ってくる。


振り返ると、やる気満々の友良が居た。でも…あれ?




「友良って、確か徒競走に出るんじゃなかったっけ?」



「最初はそうだったんだけど、嫌だから小杉君に代わって貰っちゃった!」




小杉春流のヤツ、本当は借り物競争だったんだ。友良…代わってくれて感謝します。


借り物競争をする事が放送席から流れると、あたし達生徒は、勢い良くグラウンドに向かう為に地面を蹴った。




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