結局、ドアが開く事も無く、ケータイが通じるハズも無く、あたし達は資料室で助けを呼ぶハメになった。
「小杉春流、ドア蹴破ってよ。そしたらあたし達出られるじゃん」
「バカか。俺はドアを弁償したくねぇんだよ。しかも、この学校の備品、無駄に高価だしな」
多少は綺麗そうな場所を選んで床にタオルを引き、棚にもたれかかるようにして、小杉春流と二人並んで座る。
ペンキの匂いにも多少は慣れてきて、かろうじて気持ち悪くなる事は無かった。
だけど…この会話の続かなさ、どう致しましょう、か。
小杉春流は元々口数が少なく、ここまで喋れるようになったのも、あたしの努力の賜物だが、話題を滅多に提供してくれない。
というか、初めて会った時なんか、あたしの事を“大キライ”扱いだし。
「あのさ…二つ程、アナタ様に聞きたい事があるんですが」
「なんだよ」
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