控え目に手を挙げてみると、瑞兄が反応してくれた。
「どうした、未愛?」
「今年は普通の体育祭にしない?」
あたしが提案した意見は、ごく普通の事。
だけど、お金の使い方が少し可笑しいこの学園じゃ、普通の事じゃないんだろうね。
「だって、手間も掛からないし、予算も減るし、いい事だらけじゃん!」
「確かに、来学は気合いを入れる場所が間違ってる気がするしな。俺が一年の時は驚いたし」
瑞兄はあたしの意見を前向きに検討してくれているみたいで、少しだけ嬉しくなる。
だけど、そんな平穏な空気を、紅羽先輩がぶち壊してくれた。
「でも、普通の体育祭ってどんな感じなんだろうね?」
…は?
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