一瞬にして、さっきまで真面目だった2人の表情が、消えていく。
「剣……?」
「剣ちゃん……?」
こんな事された事なんて無いし、自分から言った事も無かった。
それに今は昼休み。
教室では何人もの女子が、机を並べて仲良さそうに喋っている。
恥ずかしさもあってか、“キス”という単語を伏せておいたのだけど。
「剣ちゃん、人工呼吸ってまさか……」
「そうだよ。そのまさかだよ」
早口でそう言うと、鈴音はポンと手を叩いて、私を見る。
「それってキスのこと!?」
声が大きい!
その声を聞いた女子が何人か、こちらの方を見ている。
鈴音の口を慌てて塞ぎ、私はわざとらしい営業スマイルを浮かべて、それを回避する。
鈴音、空気を読め。


