「剣ちゃんも、機嫌が悪いんだね。昨日何かあった?」
さすが千波。
付き合いが長いのもあるけれど、私の表情を見ただけで、ズバリと言い当ててしまう。
そのにっこりと笑みを浮かべているのも、何だか妖しくて、逆に怖い。
「剣ちゃん、嘘吐く時、いっつもポーカーフェイスになりすぎているんだよね」
ふふっと嬉しそうに微笑む千波。
自分では隠しきれていると思っていたのに。
千波の前じゃ、それは無理か。
こういう時、無駄な意地を張らずに、相談した方が早いよね。
「あとで、ゆっくり話したいの。ごめんけど、今は寝させて」
それだけ言うと、私は机に突っ伏し、重たい瞼を閉じた。


