わざと何食わぬ顔をして、机に鞄を置く。
椅子に座ると、後ろから髪を引っ張られた。
鈴音だ。
「剣どうしたの?寝坊なんて初めてじゃない?」
「そうだね……。なんかボーっとしてた……」
「大丈夫?風邪?熱とかあるんじゃない?」
「いや……。大丈夫だから。走って来て疲れたんだよ、きっと」
「ふうん……」
首を傾げながら、鈴音は話すのを止める。
ぼんやりと時計を眺めていると、架月が質問に当てられて前に出てきた。
私の机の横を、スッと通り過ぎる。
あまりにも彼が普通すぎて。
私だけあれこれと悩んでるのが悔しくて、ムカついて。
そういえば。
彼は何で私にあんな事したんだろう。
そんなの、私が知る訳ないか。


