紳士的なLady





――あれから45分後。



私は今、教室ドアの目の前にいる。

課外に遅刻したから、怒られるかな。


今日の担当の先生、誰だっけ?

そう考えているうちに、教室のドアがガラリと開く。




「満原さーん?あなたが遅刻とは珍しいわねぇ。どうしたの?」



ドアの前には、古典担当の若い先生が立っている。


面倒だな……。


適当に謝っておこう。



「先生、すみません。寝坊して遅刻しました」

「あら、そうなの?いつも真面目な満原さんが遅刻だなんて……。
次から気をつけるのよ?」

「はい」



楽勝。



日頃の行いが良いからだなどと思いつつ、席に着く。



でも、この席に座ると、やっぱり思い出す。


昨日の事。



そして架月の顔。



全部、全部思い出されてしまう。





忘れたいのに。