駅まで走って行く。
何で私、寝ちゃったんだろう。
もう最悪。
結んでいない、伸びた黒髪がすごく邪魔だ。
いつも思うが、ローファーだと、走りにくい。
鞄重たいし。
……こんな事に腹を立てないで、まずは電車に間に合うようにする事を考えよう。
走るスピードを速めて、真っ直ぐ前を見る。
駅まであと、100メートル。
息を切らしながら、走る、走る、走る。
駅までは着いたのだが、これからは階段。
大きく深呼吸して、私はまた、走り出す。
階段を一段飛ばしながら、駆け上がり、改札口に定期を入れる。
ホームに着くと、電車が止まっていた。
多分、今着いたのだろう。
先程まで走ったせいか、両足ともがくがくと痙攣している。
電車の入り口に入ろうとした、まさにその瞬間。
シューッと空気が抜けるような音を立て、ドアが閉まる。
え?
このタイミングで?
それは無いよね?
車掌は私に向かって苦笑しながら、電車は荒々しい音を立て、行ってしまった。


