遠くで私の名前を呼んでいる声がした。




剣って、変な名前……。



誰………。








「剣!!何時だと思ってんの!さっさと起きなさい!」



誰?



「お母さん忙しいの!早く起きないと学校遅刻するでしょ?!」





お母さんか。




遅刻?



嘘だ。




上半身だけ起こし、時計を見ると、針は6時30分のところで止まっている。







!!


電車に間に合わないじゃん!!




「ほーら。電車、間に合わないでしょ。全く、お母さんがあれだけ呼んでも起きなかったんだから……」



ぶつぶつと文句を言うお母さんを無視して、クローゼットから制服を取り出す。



「ちょっと。無視するつもり?」



お母さんが、不服そうに頬を膨らませる。


面倒だけど、とりあえず。





「おはよ、お母さん。起こしてくれてありがと。
今自分が何歳か分かってるでしょ?
学校で朝ごはん食べるからもう行くね、行ってきまーす!」




口早にそう言って、制服のネクタイを鞄の中へ入れて部屋から飛び出す。




「もう……。反抗期なんだから……」






反抗期プラス、機嫌が悪いんだよ。お母さん。