嫌いなはずなのに、呼ばれたら嬉しい。 「嫌いだ」と言っておきながら、馬鹿にされると悲しい。 今更ながら、何で私はこの名前を嫌っていたんだろう、なんて思う。 「もうちょっとで病院着くから、ちょっとだけ我慢してろ」 ぶっきらぼうにそう言って。 もう一度、背負い直す。 「ああ、それと」 私の方を見ずに、もう一言だけ付け加える。 「お前の名前も、お前も、好きだから」