紳士的なLady




無駄に固く縛ってある縄。


爪でガリガリと縄を解こうとすればするほど、痛みが指先まで伝わってくる。



それにじっと耐えて、血で滲んだ爪で縄を引っ掻く。



「剣ちゃん……っ」



「安心した……」




急に千波が居なくなった事。

鈴音も一緒に居なくなった事。




不安になって、怖くなって。





「私に何も言わないで、どっか行っちゃったんだから……」



本当は、2人にも試合を見て欲しかった。


「頑張ったね」って言って欲しかった。




試合に勝っても、結局こんな血まみれで、怪我はするし。


2人をこんな事に巻き込んじゃったし。



他にも、架月や小野寺、榊まで、いっぱい巻き込んじゃって。






「居なくなったら、寂しいんだよ……」







プツン…、と縄が切れ。


滲んだ赤い指先を見つめていると、




ふわりと、温かい重みを感じた。