痛……っ。
殴られたんだ。こいつに。
頬に伝わるジンジンとした痛みと、口に広がる血の味。
唇でも切ったのか。
手の甲で拭うと、うっすらと赤い血が滲んでいた。
女を殴るなんて、男の隅にも置けない。
最低だ、こいつ。
「止めてよ!殴るんなら私を殴ればいいでしょ!!」
噛み付くように、鈴音が声を張り上げる。
「鈴音ちゃん!お願いだから…」
鈴音の肩にしがみ付き、必死で止めようとする千波。
「お前さぁ、杉村に勝ったんだろ?強いんじゃなかったのー?」
髪を引っ張りあげられ、顔を近づけられる。
「キレーな顔してんのにな。馬鹿じゃねぇの」
ガツンと床に叩きつけられ、さらに痛みが増す。
痛い。
痛い痛い。
「馬鹿…だよね……」
裸足のままで。
大切な竹刀を持ったままで。
鈴音と千波に、こんな怖い思いさせて。
「ホンット……馬鹿みたい」
だからこそ、
さっさと終わらせるんだ。


