紳士的なLady




「テメ……!ふざけやがッ」



途中から、その男の声が途切れた。



私が携帯を持っている手を、捻りあげたからだ。

こういう時、剣兄と刀流と喧嘩していて役に立つなと思う。

それに、小手も付けているから、爪を立てられても怪我をしない。



ギリッと苦しそうに歯軋りする男は、一生懸命に自分の携帯を守ろうとしている。


その努力は儚く、カシャンと小さな音を立てて、コンクリートの上に落ちた。




画面を観る。



……っ!



「……これ、アンタが撮ったの?」




観たくもない、鈴音の泣き顔。

その横に、欠けて観えたのは多分千波だろう。




「早く答えてよ」

「痛い痛い痛い……っ!!離せ……!!」

「答えたら離してあげる」




無表情で、早口で言う。


こんなとこで時間を潰す暇なんて、私には無いのだ。




「お、おおお俺が…撮っ……た…」




その言葉を聞いた直後。




「分かった」



パッと彼の手を離し、


素足のまま、携帯の画面を目掛けて踏みつけた。