面を取ったから、すごく走りやすい。
でも、垂と胴を着けたままだから、重たいけど。
上下に揺れる垂と胴に、煩わしさを感じつつ、一度止まって辺りを見回す。
この会場で、怪しそうな所。
死角になってる所。
駐車場とか。
ありがちだ。
でも、行くだけ行ってみよう。
走って駐車場へ向かうと、見慣れた制服がちらほら居る。
それもほとんどが男子生徒。
携帯を取り出して、画面をニヤニヤ笑いながら眺めている。
何の写メだろう……?
「おいっ、誰か居んぞ」
そのうちの1人が、私を指差して叫ぶ。
人を指差すとは、礼儀がなってない。
黙って奴に近づくと、勢い良く拳を振り上げている男がこちらに向かってきていた。
「何お前見てんだよッ……!!」
頬まで来たその拳を、小手を着けた手で、パシリと払いのける。
一応女子である私に拳を向けるなんて。
日本男児が聞いて呆れる。
「お母さんに、『人を指差しちゃいけません』って習わなかったの?」


