「始めッ」
審判の厳しい声が響く。
ダンッと杉村さんが面を打とうとするのを防ぐ私。
竹刀同士がぶつかり、ピシンと音が鳴る。
「結局アンタは自分の友達よりも、自分の結果が大事なのね」
竹刀を力強く押し、私に接近してくるとすぐに、小さな声でそう言った。
面がねの隙間から見える杉村さんの瞳は鋭くて。
そして、私を蔑むような瞳だった。
「やっぱり、アンタは友達なんかどうでもいいんでしょ?」
クスッと笑い声が耳をつんざく。
悔しくて、竹刀を振り払い、私は杉村さんに向かっていく。
いつもは簡単に面を打てるはず。
なのに。
それはスルリと躱される。
いつもみたいに、
全然、打てない。


