「……当たり前でしょ!」
ニッと笑い、竹刀を持つ。
「行ってらっしゃい」
「勝ってくるから」
左手を高々と上げ、くるりと背を向ける。
そして私は試合会場へと、足を向けた。
***
廊下には、すでに何人も集まっていた。
決勝戦を観に来たのか、あるいは杉村さんの応援か。
キョロキョロと辺りを見回すと、その中に先ほど千波を連れて行った3人が居た。
「本っ当に、あいつ馬鹿だよねー!!」
声をかけようとした直後だった。
彼女たちを呼び止めようと、伸ばした手がピタリと止まる。
さっき話しかけられた時とは違う、悪意のこもった声。
全身から、変な汗が湧き出す。
「思った!てか、前に襲ったのに何でもう立ち直ってる訳?意味分かんなーい!」
「剣ちゃんって言ってたけど、すっごい名前だよね?笑えるわー!」
「そういやあいつどこに閉じ込めたっけ?」
我慢、するべきか。
そんな事も考えずに、気付けば、その3人のうちの1人の肩を掴んでいた。
「その話、詳しく聞かせてよ」


