紳士的なLady




私の今の状況。



後輩6人ほど泣いている。
泣きたいのは私の方だけど。


左手首がジンジンと痛む。
その左手首に、不器用ながら一生懸命に包帯をぐるぐる巻きにしている鈴音。



顧問の先生とお母さんが、向こうで深刻そうな表情をして話し合っている。

どうせ「今回の退会は諦めるか」とかでしょ。



そんなの、絶対に嫌だ。

自分で“負け”を認めてしまうなんて。



私じゃなくなる。





「うん。これで大丈夫……」


湿布を貼って包帯を巻いてくれた鈴音には感謝しきれない。



「ありがとう」



そう言って立つと、ワッと後輩が駆け寄ってくる。



「剣先輩!!先輩が怪我したら私……」

「先輩、無理しないで下さい!」



わぁわぁと泣く彼女達に一言。




「泣かないの」



ピシャリと言い放つと、彼女達は驚いた表情でピタリと泣き止んだ。




「泣いたって、今の状況は変わらないんだから。私は大丈夫。何とかするから」




今の私に出来る、精一杯の笑顔で言った。