そんな私の疑いの目も余所に、千波と剣夜兄は笑っている。
でもまぁ、今は笑っているだけで十分よね。
少しホッとしていると、
「あのー……。ちょっといいですか?」
他校の生徒だと思われる女子の3人が、声を掛けてきた。
この制服、どこかで見た事がある気がする。
「はい?」
「今からマネージャーだけが集まって、会議があるらしいんです。えーっと、マネージャーさんは……」
「私です」
千波が前に出て、何やらその3人と話していた。
何度か千波が「はい」と言うのが聴こえ、3人は「お願いします」とだけ言って去っていった。
「どうしたの?」
「次の試合までの時間、ちょっと集まらなきゃいけないみたい。すぐ終わると思うからって」
「そっか。じゃあ、私らはお昼先に済ませておくね」
「うん。すぐ帰って来るね」
そう言って、その3人と共に、千波は階段を降りて行った。
マネージャーに何の用事があるんだろう?
昼休みには、何も無いはずだったと思うけど。
疑問に思いながらも、お母さんに渡されたお弁当箱を椅子に置いた。
「剣ー。私お茶買って来るからついて来てー」
「自分で行けば良いのに」
鈴音に文句を言いながらも、私はその後について行く。
階段を降りている最中だった。
「き……きゃあああああ!!」
甲高い悲鳴が聴こえ、反射的に私は、その声の主と共に階段に転がっていた。
「剣!!」


