「気をつけ、礼」
「ありがとうございました!」
女子剣道部全員の声が、武道場に響き渡る。
時計の針はすでに7時を回っている。
今日の部活はここまでだ。
武道場に来てから、千波とは言葉を交わしていない。
千波は、私がまだ怒っているとでも思っているんだろう。
怒る、というよりも、失望したと言えば良いのかもしれない。
だけど、今回はそう簡単に許すつもりは無い。
向こうが謝るのならば、こちらも謝るし、謝らないのであれば、ずっとこのままだ。
試合が近いから、こういう気まずい雰囲気なのは嫌だけど、今回は別だ。
「お疲れ様でしたー」
後輩が私にペコリと頭を下げながら、部室を出て行く。
私もそろそろ帰ろうかな。


