『俺は……満原が好きです!!』





奴の声しか聴こえなかった。


体育館は、あんなにざわついていたのに。




あいつだけの声しか、響かなかった。





――苛々する。




同じ部活で、いつも満原に突っかかっていく榊。

満原は否定するが、何だかんだ言って、奴に構う。




それに比べて、俺は強引に押し付けて、満原を独占しようとする。




ガキみたいだ。




欲しいものが手に入らなくて、駄々をこねるガキ。



今の俺はまさしく其れだ。





自分が榊に“嫉妬してる”だなんて、気付きたくなかった。



これが“嫉妬”だなんて、知りたくもなかった。