「剣!ねぇ大丈夫?!いつも以上にぼーっとしてるよ!」
左隣に居る鈴音は、肩を揺さぶっている。
仕方が無いでしょ。
こんな事になってるんだから。
なんて、冷静に言える訳もなく。
「剣ちゃん、本当に顔色悪いよ。保健室行く?」
涙目にでもなっているのだろう。
千波が本気で心配そうな顔をしている。
「いや……。大丈夫」
耳鳴りがする。
多分、榊の声と体育館に居る生徒の声が重なって、聴こえているからだろう。
「生徒は全員、体育館から出て下さい!」
左側に居る先生が、マイクを持ってしきりにそう言う。
その声に従って、わらわらと出口に向かう生徒たち。
「教室、戻ろっか」
尋常じゃない私の様子を見て、鈴音はそれだけ言うと、私の手を握って、出口へと足を早めた。
*真剣モデラート*