固まったままの私には、何だか魂が抜けたようだった。
架月が歩く度に揺れる、両足首。
自分の左耳が、架月の右胸に当たっている。
視界が、オレンジ色から、黒と白のモノトーンへと変わっていく。
さっきまで、廊下中に響き渡る声で、怒鳴っていたからか、私が大人しくしていると、急に架月が口を開いた。
「お前さ」
「何」
私の口からは、その一言しか出てこない。
鈴音とか千波は、こういう時もっと気の利いた事が言えるのだろう。
そんな事を、ぼんやりと考えながら、両足首を見つめる。
「一応、女なんだから無茶すんなよ」


