剣。
それが私の名前だ。
両親共々剣道をしていたらしいから、この名前になったそうだ。
因みに、両親は現在、剣道の道場で子供たちに剣道を教えている。
剣だなんて、男の子の名前であっても普通は付けないだろう。
なのに、私の両親は普通ではなかった。
両親は女の子の名前に“剣”と名付けてしまった。
それからというもの。
「男の子みたい」と言われる事が多々あった。
「剣くん」と呼ばれた記憶しかない。
「強そうね」と笑顔で言われたこともあった。
幼かった私は、「強い」の一言を褒め言葉だと受け止めていて。
それが大間違いだと知ったのは、小学生の時だった。


