ラスト

彼の奥さんが立っていた。


心臓が痛い…

手が震え、

目を合わすのが怖い


「また戻ってきました」

彼女は優しく微笑みながら言った。

私は、作り笑いしながら

「一人で寂しかったんですよ~。良かった~帰って来てくれて」

そんな事しか思い付かなかった。



いつバレてもおかしくない…


その事で頭がいっぱいで、喋っていても手の震えが止まらない…


声が震えそうで怖い…
どうしたらいいの…?


絶対にバレちゃう…
看護婦と彼女が話しはじめた。

どうか、少しの間で良いから出ていって…

そう願うしかなかった…


「旦那様は?」

看護婦のその言葉に動揺した…

「帰ったのかなぁ~さっきから姿が見えなくて…」

彼女は淋しそうにつぶやいた。

心が締め付けられる…

「ちょっと電話してくるね」

彼女はそう言うと、部屋から出ていった。


今のうちしかない…

看護婦もいない…

彼は急いでベッドの下から出てきた。

そして、

「またこんど…
忘れないで…
俺は君が好きだって事…」


そう言うと彼は出て行った。