「父上・・・」

そっと中に呼び掛けると、答える声がした。

部屋の奥には、険しい表情をして水盆を覗き込んでいる政行と、両脇に端座する織り姫と幸の姿があった。
「疾風様・・・姫は」

麗貴妃の身を案ずるように立ち上がりかけた織り姫は小さく頷く疾風を見てほっと息をついた。

「疾風、麗貴妃殿の見た夢を話してくれ、」