「だけど…あたし、怖くて…だから…っ…」


そこまで澪が言ったところで

横にいた朝陽が澪を抱きしめた。



「澪ちゃん。

あのとき、助けられなくてごめんね。


辛かったと思う。

澪ちゃんの気持ち、分かるよ、なんて簡単に言えない。


だけど、私、澪ちゃんのこと大好きだった。

今もそのキモチは変わらないよ?


だから、私は、今度こそ澪ちゃんを救いたい。

あのとき、助けられなかったから。

だから、もう2度と同じ間違いはしたくない。


澪ちゃんが辛いとき、今度は傍にいるから。

もう、1人になんてさせないから。


私が、楽くんが、波瑠斗くんが、一緒にいるから。


だから、一緒にバンド、やろう」


澪の瞳からツーっと涙が零れる。



「…こんなあたしでも、仲間に、なれるの?」


「もちろん。

つーか、もう仲間だしな」


そう言うと澪はボロボロと涙を零しながら俺たちに笑顔を見せた。


それが、俺が初めて見た、澪の笑顔だった。