「あのさ、笑って誤魔化せるとでも思ってる?」
「いいや、思ってない。
でも、よく言うだろ、第一印象は大切だ、って」
はぁ、と溜め息をつく澪。
「そう。だとしたらあたしのあんたに対する第一印象は最悪、よ」
なるほどな。
確かに女版、楽だ。
でも楽よりよく喋ってくれるからやりやすい。
「早く出て行って。」
「無理。俺、澪に用あるもん」
「そっちに用があってもあたしにはない。
だからほら、出て行ってよ」
立ち上がって俺たちへ近づいてくる澪。
その手にはドラムスティックが握られている。
そして俺の目の前に立ちはだかった澪からスティックを奪った。
「はっ?!ちょっ!返してよ!」
そんな声を無視して俺は部屋のど真ん中に置いてあるドラムセットのイスに座った。


