『はい、どちら様でしょうか』
声だけで分かる。
かなり育ちのいい、おばあさんの声。
「澪さんの…クラスメイトの者です。
澪さん、いらっしゃいますか?」
『まあ!澪ちゃんのお友達ね。
どうぞ、お入りになって。
今、そこ開けますので』
その言葉が終わると同時にでっかい木の門がぎーぃっと音をたてて開いた。
「お、おぉ…」
思わず見上げて口をあんぐり。
「何バカ面してんだ、バカ。
ほら、行くぞ」
視線をもとの位置に戻すと楽と朝陽はもう門をくぐっていた。
「バカ面とはなんだよ!
俺の顔は元からこうだ!」
「なら元からバカなんだな、うん」
「うん、じゃねーよ!
楽、いい加減にしろよ!」
「まあまあ、2人とも落ち着いて」
なんて人様の家でこうも騒がれちゃかなわないだろう。
そうは思いながらも家の玄関までバカ騒ぎを続けた俺たちだった。


