Last Sound





「おいおい、エトー。

またここかよ?」


「文句言うな。

お前は黙って座れ」


エトーに連れてこられたのはまたも生徒指導室。

どうもイヤなんだよな、この雰囲気。



「なあ、波瑠斗。

お前は俺が昨日言ったこと、聞いてたのか?」


「あ?当たり前だろ」


「だったらなんで持ってきた?」


「なんで?って…そんなの、決まってるだろ」


エトーはワケがわからない、みたいな顔で俺を見る。



「メンバー集めのため。

エトーが決めた期限を守るためにはこの方法しかないんだ」



俺はガタッと音を鳴らして立ち上がった。




「だから、頼む!エトー!

このとおりだ。


10分…10分でいいから授業後、ギター弾かせてくれ」


頭を深々と下げた。

言い合うのもいいと思う。


だけどやっぱり、やるからには気持ち良く弾きたいんだ。


それを考えたら頭を下げる、という方法以外思いつかなかった。