「で、そのベーシストは何組の誰?」
「1組の坂下 ガク」
「ガク…?」
変わった名前だな。
「楽しいって書いてガク、って読むんだぞ」
拓馬が付け足す。
「はぁ?!なんだよ!それ!
絶対そいつ、音楽向きじゃん!」
「な、なんでんなハイテンションなんだよ…」
若干引き気味の拓馬。
ま、気にしないけどな。
「だってさ!音楽って楽しい音って書くんだぞ?
その1文字の”楽”って入ってんじゃねーか!名前に!
そんなんもん、ヤバイじゃん!」
「はぁ?バカじゃねーの?
ただの偶然だろ、偶然」
ったく分かってねーな、拓馬は。
こういう偶然は後にすごいことをもたらすに決まってんだからな。
よし、1時間目が終わったらさっそく1組に行ってみよう。