「そうですか。

それは失礼しました。


工藤先生が渡辺波瑠斗を庇うキモチはよく分かりました。

あなたが生徒思いなのも、よく分かりました。


だけど、学校際での演奏は認めません」


…悔しかった。

どうしようもないくらいに、悔しかった。


どうして俺はこれほどにも無力なんだろう。




「…工藤先生っ!?」


俺の行動に丸山先生が大きな声を出す。

仕方がないだろう。


だって俺は今、床に手をついて、

『土下座』しているのだから。



「やめてください!

どうしてそこまで必死になっているんですか!


たかが、学際での演奏ですよ!?

あなたが土下座まですることないでしょう?!」



「丸山先生にとって…たかが学際での演奏、でも

アイツらにとっては…軽音部の5人にとっては、たかが、なんかじゃないんですっ!


毎日、みんないろいろやりたいことがあるだろうに、

それなのに、部室に集まっては、あーでもない、こーでもない、って試行錯誤しながら叶うかも分からない学際での演奏のために頑張っているんですっ!


俺はそんなアイツらの力になってやりたいんです…っ

1ミリでもいいから、

アイツらの力に…なってやりたいんです…」


腹が立った。

どうしようもないくらい、腹が立った。


不甲斐ない、俺自身に。



「お願いします…っ!

どうか、どうかアイツらに演奏するチャンスを…与えてやってください!


…お願いします!!!」