散々怒鳴り散らした俺はドアに手をかけた。
でも
「…ごめん、波瑠斗」
そんな声がして俺は振り向く。
するとエトーが俺に頭を下げていた。
「波瑠斗、ごめん。
確かにお前の言う通りだ。
何事もやってみなくちゃ分からない。
そう言ってる俺が最初から諦めてたらダメだよな。
よし、分かった。
お前の夢に…協力してやる」
頭を上げたエトーはそう言って笑った。
「エトー…!
やっぱエトー信じて良かったよ、俺!」
「あれ?誰だったっけ?
ほんの1分前に
少しでもエトーを信じた俺がバカみたいだ!
って怒鳴ってたのは」
「う、うっせぇーなあ!
エトーがいけないんだろ。」
「あはは、そうだな。
俺がいけなかった。」
やっぱりエトーはいい先生だ。
まず素直に生徒に頭を下げられる教師が世の中に何人いる?
それに自分が間違ってた、そうちゃんと認められるヤツが何人いる?
少なくとも俺はこの学校に入るまでそんな教師に出逢ったことがなかった。
「ただし、いいか?波瑠斗。
1つだけ、条件がある。」
「条件…?」
「バンドメンバーを見つけること。
期限は5月いっぱい、だ。」


