「なあ、エトー」


気づくともう夏休みで。

本当なら俺は高3で受験生で今頃、受験勉強に追われているはず。


だけど、俺は部室にいて。

そこには高2の美雪もいる。

そして、残るはエトー。


あとの楽、澪、朝陽は学校の補習。



「あ?どうしたんだ?不真面目波瑠斗くん」

エトーが不機嫌なのはワケがある。



「なあ、そろそろ機嫌直せよ。

エトーがススメたのに補習でなかったことは悪いと思ってるから」


そう。補習についてエトーと散々モメたのだ。

補習には2種類あって、自由参加の補習と、強制補習。


それで、まあ当然に強制補習は強制なワケだからこの補習は俺も出る。

だけど自由参加の補習にはやる気のない俺は不参加で。


エトーは毎日と言っていいほど出ろ、と言ったけど、

結局変わらず不参加。


それでエトーはずっと、怒っているのだ。



「悪いと思ってるなら今からでも補習、行って来い」


「…ま、それとこれとは話が別だろ」


「別じゃねーよ」


くっそー…

このままじゃ、話が進まない。


と、判断した俺はエトーを無視して話を進めた。



「俺、1回エトーのバンド、見てみたいんだけど」